収容委員会、打ち切り決定

らがです。
さてさて、最近国政の方は荒れておりますが、高尾でもいよいよ対決ムードが強まって参りました。東京都土地収用委員会は13日に行われた公開審理において、休憩を終え、さぁ再開だという段になって突然「今後収用委員会は開催しない」、「意見書は別に定める日時までに提出するように」、との一方的な宣言を発し、そそくさと会場を後にした。あまりに唐突なことに唖然とする会場の地権者たちは、それでもひとしきり怒号と呼び出しの掛け声を上げ続けたが、閉じた扉が再び開くことはなかった。
自分たちは「第三者」であり、地権者、起業者、双方の意見を公平に、公正に聞いたという見栄を切って見せ、猿芝居を演じ切った収用委員会のお歴々は、私にはアイヒマンの生まれ変わりにしか見えなかった。明治の思想家中江兆民ならば、彼らをして「無血虫の陳列場」と喝破し、唾棄すべきものとしたであろうことは想像に難くない。
起業者の息が掛かっていながら「第三者」を天下に公言してみせる収用委員会の破廉恥漢達は、その人間としての魂を眠らせ続けるいぎたなさにおいて、後の世までの語り草にされるに違いない。あの収用委員会の席上、唯一人間的苦悩を見せ続けていた早大大学院教授の、あの苦悶の表情こそ、違う立場のもの同士が語り合う際の、唯一の窓口になるものであると私は考えるものである。