『A』森達也

A [DVD]

A [DVD]

この[cinema]カテゴリではドキュメンタリーに限定せず、私達が勉強会で扱った作品や参考にしたいと思ったものを紹介していきます。今月の初めに行われた全体会議で参考作品として挙げられたのがこの森達也監督の作品『A』です。
内容はといえば摘発後のオウム真理教の様子を教団の内部から記録したものです。オウム信者の日常生活の様子・広報部長の荒木さんに群がるマスコミetc、そんなものを割と淡々と、時にユーモアたっぷりに映し出します。硬派・骨太な内容で実に勉強になりました。
多分、この映画がいっているのは「レッテル貼りによる思考停止の恐ろしさ」ということなんじゃないかと思います。オウムが盛んに取り上げられていた10年前、私達は教団関係者を「異常者」と見なしていました。それが、この映画にあるようにオウムの側から私達の生活する社会を見つめるとおかしなことに気付きます。実は「異常」なのは社会の側なんじゃないのかなと。マスコミの暴力的な取材とか近隣住民の無神経な態度を何度も見ている内にそんなことを思ってしまいます。
もちろん教団が犯罪に関与していたことは事実で、その犯罪集団へのアプローチは通常の集団へのそれと随分変わってくるでしょう。でもですよ、社会がオウムに示した扱いはやっぱり異常としか思えなくて、当時の私達が実は恐ろしいことをやっていたということをこの映画は感じさせてくれます。公安警察のでっち上げ逮捕のシーンなんて思わず言葉を失っちゃうんです。
「正義」っておっかないものです。その名の下ならばどんな無神経なことだってできちゃうし、言えちゃうんだなって思います。「善悪」を安易に決め付けず自分の頭で物事を考える習慣、とっても大事なことだけれど、やっぱり難しいことです。圏央道計画においての「善悪」って一体何なのだろうか。
そういえば森達也監督の作品はyoutubeでいくつか視聴することができるようです。以下に動画を貼り付けておきますね。
ドキュメンタリーは嘘をつく

『職業欄はエスパー』

放送禁止歌

というわけで、今日はこんなところで日記を終えます。明日はJYGのだいごーが執筆する予定です。それでは。
執筆者:ナイトウ