ミクロで止まってすぐ難問〜狂気の経済学演習

先週は書けなくてごめんなさい、りっちです。
霞ヶ関OPENゼミと日本青年サミットに行ってました。どちらも意欲の高い人が多くてかなりの刺激になったかと思います。
さて、いま巷ではエコマーク不信現象が起こっているようです。いつか発覚した偽造がきっかけのようですね。
これを機に、単なるエコブームから持続可能な社会へと変わっていくことを望みます。

エコブームといえば、もう一つ気になっていることが。
公共広告機構が「ストップ、温暖化」のスローガンを掲げるようになって早くも5年、日本国内でもその風潮は高まりエコグッズやCSR事業が盛んになってきました。
しかし・・・
温暖化に関する科学的メカニズムを理解している人はどのくらいいるのでしょうか。
最近は頭から数式や化学式の概念がすっぽり抜けている、という大学生が多くなっているので、社会人ではなおさらかもしれません。
ですが、この科学的メカニズムは高校の物理と化学で理解できる内容ですので、特にたいしたものではありません。理解していなければ、温暖化懐疑派のポイント突いた反論も理論的に分かるはずないでしょう。

温室効果というのは元々、温室効果ガスが赤外線を吸収して熱を帯びることです。
ですので赤外線と紫外線から説明しましょう。

○赤外線と紫外線について○
電磁波のエネルギーを考える際の式としてE=hνというのがあります。Eはエネルギー、hはプランク定数で一定、νは振動数です。
また、光速=λν(波長×振動数)より、これを上式に適用すると
「光のエネルギーと波長は反比例」という結論が出ます。そのため
γ線X線、紫外線など、可視光線より波長が短い電磁波ほど高エネルギーです。
赤外線や電波など、可視光線より波長が長い電磁波ほどエネルギーが弱くなります。

そのため、赤外線と紫外線には、以下のような性質の違いがあります。

赤外線照射 ⇒ 分子の結合が伸びたり縮んだりする ⇒ 分子の運動活発化(熱になる)
紫外線照射 ⇒ 結合の性質が変わる ⇒ 日焼け、皮膚がん、白内障の原因に
※紫外線を浴びることによって丈夫な骨、免疫力をつくれるので単純悪ではありません

それを踏まえたうえで、温室効果のメカニズムです。誰でも分かるものを載せると

1.太陽からやってくる電磁波(波長450ナノメートル付近の青色光)が地表に達する
2.暖まった地表から熱輻射エネルギーが出る。太陽より低温なのでEの弱い赤外線に
 (このとき、元の電磁波から輻射熱として出る熱の量の割合をアルベドと呼ぶ)
3.赤外線を吸収する温室効果ガスがある

さて、どうして吸収する物質と、そうでない物質があるのでしょう。
答えは電気陰性度です。つまり、分子構造に偏りのある分子は赤外線を吸収します。
CO2、水蒸気、O3、フロン類、N2O、CH3、すべて電気陰性度があります。
これらの分子は特定の赤外線を吸収することになり、振動して熱を帯びます。
ここで「特定の」と表現しているのはつまり、全ての赤外線が吸収されているわけではないということです。これらの温室効果ガスでも吸収していない赤外線が大気圏を脱しているのです。

写真のように、電気陰性度をもつ気体は伸長、収縮、回転という3種類の運動をします。分子振動が活発化すれば熱が発生する、これは熱力学の常識ですね。

さて、さきほど「特定の」と述べましたが、これは波長です。ガスごとに決まった範囲の波長にある赤外線しか吸収しません。この範囲を「特性吸収帯」と呼びます。


気体ごとの特性吸収帯を示したグラフです。上下幅の広い白い領域は「大気の窓」と呼ばれる部分で、青い領域に特性吸収帯を持つ水蒸気は大気の窓を持ちません。つまり、気象状況の変化以外では水蒸気は増えたり減ったりすることがなく、数万ppmあることでほとんどの赤外線を吸収しているといえます。
 一方、白い領域に特性吸収帯を持つ気体は、増えればそれだけ温室効果に貢献してしまうというものです。白い領域を残りの温室効果ポテンシャルと考えてください。青い領域が大きいところの気体は、絶対量が少ないということなので「光学的に薄い」と表現します。このグラフではCO2の「光学的厚み」があるので、水蒸気とCO2は相対的に見れば「濃度上昇による温室効果」は少ないと思われます。一方、この2つの気体が吸収できない赤外線を吸収する気体の方が、同じ量増えただけでも温暖化のポテンシャルが高いといえます。これを数値化したものが「地球温暖化係数GWP」です。CO2を削減することはもっともですが、本当はCO2が吸収できない赤外線を吸収する気体(フロンなど)が増えてしまう方が問題である、というのが大気化学者の間での見解だそうです。
 分かりやすく言うと、CO2の1500倍のGWPを持つガスを1トン削減すれば、1500トンのCO2を削減したのと同じ効果が得られるのです。しかし、GWPの高いガスほどわが国の基幹産業には欠かせないものになっているので、京都議定書目標達成計画でもフロン類を排出量2%増とし、仕方なくCO2を削減しているということです。
優秀な大気化学者ほど「CO2よりGWPの高いガスを削減すべきだ」「光学的に厚いCO2が増えてもそこまで大きな温暖化には繋がらないのでは」と主張しているのには、こういう理由があるからだそうです。

こちらにも詳しく載っていますので見てやってくださいな。
http://env01.cool.ne.jp/ss02/ss025/ss0252.htm

懐疑派の主張もかなり的を得ているものがありますので、確かに温暖化についてはまだまだ議論の余地があります。
ですが、「二酸化炭素が温暖化の原因になってるのか分からないだろ」とか言っているような陳腐な議論には、耳を傾けるだけムダだということを理解したほうが良いと思います。

結論から言えば、電気陰性度を持つ二酸化炭素には温室効果があります!!
ただし、光学的に厚い気体によって今後どこまで気温が上がるのかについては、まだ明らかになっていません。そこに関しての懐疑派の主張に耳を傾けましょう。



それでは、再びコブ=ダグラス型関数と戦ってきます。ミクロ経済学ラムズス・・・